トイレや洗面所などの水回りには、止水栓という水流を制御するための部品が設置されています。水回りで水漏れが発生した場合、まず止水栓を閉めるのが基本ですが、止水栓自体に水漏れなどのトラブルが起こることも。

この記事では、止水栓の水漏れが起きた際の応急処置の方法や原因、修理方法に加え、止水栓の種類や設置場所も詳しく解説します。日頃からできるメンテナンス方法も紹介するため、本記事を読めば止水栓の水漏れを早期に発見して安全に対処でき、業者に依頼するかどうかの判断も安心しておこなえるようになります。

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止水栓からの水漏れの原因

止水栓から水漏れが起きる原因はさまざまです。原因によっては自分で対処が可能な場合もあります。

ここでは、主な止水栓からの水漏れの原因を紹介します。

1. パッキンの劣化

止水栓のハンドルと本体をつないでいる部分には、パッキンが付いています。パッキンは、各パーツの隙間を埋めて水漏れを防ぐゴム製の部品です。

蛇口に付いているパッキンは、ハンドルの動きなどですり減っていきます。しかし、止水栓のパッキンは動かすことがないので、すり減るというよりは年数経過によって硬くなってしまうことがほとんど。パッキンの寿命は一般的に10年程度といわれています。

1. ナットの緩み

接続部を固定しているナットが緩むと、水漏れの原因となります。この場合、レンチでナットを締め直すだけで水漏れが止まることもあります。トイレの止水栓からの水漏れが起こったら、まずはナットが緩んでいないかチェックしてみましょう。

1. 止水栓の破損

築年数が経っている建物や、止水栓を設置してから年数が経過しているなどの場合は止水栓自体が破損していることもあります。止水栓を交換する必要があるため、専門業者に依頼しましょう。

1. 給水接続管の緩み

止水栓と水回り設備をつなぐ給水接続管からの水漏れを、止水栓からの水漏れと勘違いするケースもあります。
たとえばトイレの場合、止水栓とトイレタンクは給水管でつながっています。給水管が緩んでいる、またはパッキンが劣化していると水漏れが発生し、止水栓へ水が伝い、止水栓からの水漏れと間違える恐れがあります。

この場合、給水接続管を締め直す、パッキンや給水接続管本体を交換するなどの対処法が有効です。

1. バルブの破損

止水栓には、給水管内の水の流れを止めたり調整したりする”バルブ”と呼ばれる弁が備わっています。このバルブが故障すると、水をしっかりと止めることができず、水漏れの原因となります。

とくに長期間使用している場合は、内部部品の摩耗や腐食などによって密閉性が低下し、水が少しずつ漏れ出すことも。そのまま放置すると、漏水による腐食や水道代の増加などのトラブルにつながるおそれがあります。水漏れが見られる場合は、早めに新しいバルブへ交換することが重要です。

1. ニップル管の劣化

ニップル管とは、壁や床に止水栓をしっかりと固定するための接続部品です。
止水栓の根元から水が漏れている場合、ニップル管の劣化が考えられます。

この場合、ニップル管を新しいものと交換する必要がありますが、自力ではなく専門業者に依頼するのがおすすめです。

劣化し脆くなったニップル管は、交換の際に折れてしまうこともあります。万が一壁や床の中に折れた部品が残ってしまうと、専門の工具で取り除く必要があるため、自力で対応するのは困難です。折れた部品の除去作業によって余計に料金がかかってしまうため、無理に自力で交換せず、初めから専門業者に依頼しましょう。

1. 偏心管止水部の緩み

偏心管止水部とは、壁付けタイプの混合水栓（一つの蛇口からお湯も水も出せる水洗）についている止水栓のことです。
通常、水漏れすることはほとんどありません。蛇口を修理するときに止水栓を回すと少量の水がにじむこともありますが、しっかりと締め直せば水漏れは止まります。

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1. 止水栓から水漏れが起きたときの応急処置

止水栓から水漏れが起きたら、元栓を閉めて水漏れをいったん止めます。通常、水回りで水漏れが起きた場合は止水栓を閉めて対処しますが、止水栓自体のトラブルの場合は元栓を閉めてください。

次に、床など水で濡れてしまった箇所はしっかりと拭いて乾燥させます。とくに床材に水が染みるとカビの原因になることもあるので、速やかに拭きましょう。

1. 止水栓から水漏れが起きたときの原因別の修理方法

すでに説明したとおり、止水栓からの水漏れの原因はさまざまです。ここからは、止水栓の水漏れの対処法を原因別に解説します。

1. パッキンの劣化が原因の場合

まず、止水栓の三角パッキン（コマパッキン）の劣化や破損が原因の場合は、パッキンを交換することで水漏れが解消します。

手順は以下のとおりです。

【手順】
1.元栓を閉める
2.レンチで袋ナットを外す
3.ナット内もしくは軸の部分に付いているパッキンを交換する
4.袋ナットをもとに戻して元栓を開けて、水漏れがないか確認する

1. ナットの緩みが原因の場合

ナットの緩みが原因の場合は、締め直しで水漏れが解消します。一番簡単にできる対処法なので、レンチなどの工具を準備しておくと便利です。

【手順】
1.元栓を閉める
2.緩んでいるナットをレンチで締める
3.元栓を開いて水漏れがないか確認する

※ナットを締める際は力加減に注意が必要です。強い力で締めるとナットが破損してしまうこともあります。ゆっくり締めましょう。

1. その他が原因の場合

上記以外の、バルブやニップル管の破損などが原因の場合、原因となっている部品本体を交換します。専門の知識や工具が必要なため、専門業者に依頼しましょう。

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止水栓の役割

止水栓を閉めると、各水回り設備への給水が止まります。部分的に給水を止めるので、ほかの水回りは使用可能です。

水漏れなどのトラブルが起こった際、止水栓を閉めて給水を止めることで被害の拡大を防ぎます。たとえばキッチンの蛇口から水漏れした場合、キッチンの止水栓を閉めて一時的に給水を止めます。トイレやお風呂場など、ほかの水回りの給水には影響しません。

また、止水栓は給水の水量を調整するときも使用します。
水の勢いが強すぎるときは止水栓を締めて水量を制限し、逆に弱いときは緩めて水量を増やします。

1. 止水栓と元栓の違いとは？

止水栓は設置されている設備への給水を、元栓は家全体の給水をそれぞれコントロールします。

元栓は水道の大元の栓で、すべての水回り設備への給水を制御する設備です。
一般的に、屋外にある水道メーターの近くに設置されていて、元栓を閉めると家全体の水回りへの給水が止まります。
大規模な水回りのリフォームをおこなうときなどは、元栓を閉めてすべての水回りへの給水を止めるのが一般的です。

一方、止水栓は先述のとおり、一部の水回りへの給水を制御します。止水栓を閉めた水回りだけ給水が止まり、ほかの水回りには影響しません。

1. 止水栓は必ず備わっている？

基本的に、止水栓は各水回り設備に設置されていますが、家庭によってはキッチンや浴室などに設置されていない場合もあります。
止水栓が設置されていない設備で水漏れなどのトラブルが起こった場合、部分的に給水を制御するのは困難なため、元栓を閉めて対処しましょう。

また、止水栓の設置場所がわかりにくい場合は、次に説明する代表的な止水栓の場所を参考にしてください。どうしても見つからないときは、元栓を閉めて水漏れトラブルに対処します。

1. 止水栓がある場所

設備によって止水栓のある場所はさまざまです。設備別の代表的な止水栓の設置場所を説明します。

1. トイレ

トイレの止水栓は主に、壁・床に設置されていることが多いです。タンクから伸びている給水管をたどっていくと止水栓があります。ご自宅のトイレの止水栓がどこにあるか、確認しておくと安心ですね。

タンクレストイレのような特殊なトイレは、止水栓が便器の中に収納されていることもあります。

ウォシュレットを使っている場合は、分岐栓によってウォシュレット用の止水栓が別に設置されています。ウォシュレット用の止水栓を閉めてもトイレ全体の水は止まらないため注意しましょう。

1. キッチン

キッチンの止水栓はシンク下の収納部分にあります。お湯用と水用の2つの止水栓があり、赤と青でわかりやすく色分けされていることが多いです。キッチンの仕様によっては、板などで見えないように加工していることもあります。

1. 浴室

シャワーや蛇口の止水栓は、水栓本体についていることが多いです。浴室全体の止水栓は、洗面台下に取り付けられているケースもあります。

1. 洗面台

洗面台の止水栓はボウル下の収納部分にあります。キッチン同様、水用とお湯用に分かれていて2本並んで付いていることが多いです。

1. 給湯器

給湯器の止水栓は、基本的に本体につながる給水管に付いています。メーカーや型番によっても場所がさまざまなので、取扱説明書であらかじめ確認しておくとよいでしょう。また、給湯器にはガス管もつながっているので、ガス栓も付いていることがあります。間違えないように注意しましょう。

1. 洗濯機・屋外水栓

洗濯機・屋外水栓には、基本的に専用の止水栓は付いていません。洗濯機・屋外水栓の水を止めたいときは、元栓を閉める必要があります。

1. 主な止水栓の種類

止水栓は4つのタイプに分かれます。タイプによって操作方法や修理方法も若干異なるので、ご自宅の止水栓のタイプを調べておくと安心です。

1. ドライバー式止水栓

ドライバー式止水栓は、マイナスドライバーを使用するので「マイナスタイプ」とも呼ばれます。給水管の中央に突起が出ていて、溝にマイナスドライバーを差し込んで操作します。時計回りで締まり、反時計回りで開きます。

ドライバー式止水栓のなかでも、突起部分に溝がついているのが”外ネジタイプ”、溝が埋め込まれているのが”内ネジタイプ”です。内ネジタイプの場合、溝の大きさに合った幅のドライバーでないと操作できません。
ご自宅の止水栓が外ネジタイプなのか内ネジタイプなのかを確認して、ドライバーを用意しましょう。

1. ハンドル式止水栓

ハンドル式止水栓は、キッチンや洗面台の止水栓によく見られるタイプです。名前のとおり、ハンドルを回して操作します。ドライバー式に比べて、道具も不要で素手で回せるので便利です。

1. 開閉コック式止水栓

開閉コック式止水栓は、給水管に丸や棒状の樹脂製のコックが取り付けられているタイプです。開閉タイプとも呼ばれます。コックを手でひねってバルブを開閉でき、ハンドル式と同様、特別な工具を使わずに操作できます。

1. 偏心管止水栓

偏心管止水栓は、壁付けタイプの混合水栓についている止水栓です。
なかでも、一つのレバーで水温を調整するシングルレバー混合水栓の場合、ほぼ必ずこのタイプの止水栓が備わっています。ドライバー式止水栓と同じく、ドライバーを使って操作します。

1. 止水栓の水漏れを予防する方法

普段の心がけで、止水栓の水漏れを予防できます。止水栓の水漏れ予防のためにできることは、次のとおりです。

1. パッキンを一定期間ごとに交換する

すでに説明したとおり、パッキンの劣化は止水栓の水漏れを引き起こします。
止水栓のパッキンの寿命は10年ほどですが、使用状況によって耐年数に差があるので要注意です。設置して数年経った水回りは、止水栓のパッキンが摩耗または破損していないかを確認することをおすすめします。必要に応じて、パッキンの交換をおこないましょう。

パッキンの交換は、元栓を閉めたのち、ナットを外して中のパッキンを新しいものと交換します。詳しいパッキン交換の手順は、「止水栓から水漏れが起きたときの原因別の修理方法」をご覧ください。

1. 止水栓周辺を塞がないようにする

止水栓の周辺を塞がず、よく見える状態にしておきましょう。
とくにキッチンや洗面台の場合、収納スペース内に止水栓が設置されていることもあり、周りに物を置いている方もいるのではないでしょうか。

止水栓をよく見える状態にすると、異変が起きてもすぐに対処できます。また、少量の水漏れでも早期発見により被害を最小限に抑えられます。
収納を開けるついでに止水栓の目視点検を習慣にすると、止水栓の水漏れ防止につながるでしょう。少なくとも、月に1度は止水栓の状態を確認するのがおすすめです。

1. 止水栓の水漏れを業者に依頼したほうがよいケース

止水栓の水漏れの原因がパッキンの劣化またはナットの緩み以外の場合、基本的に修理を専門業者に依頼することをおすすめします。
水漏れを起こしているパーツの交換が必要ですが、作業が複雑で、専門の知識や技術がないと対応が難しいためです。

また、パッキンの劣化やナットの緩みが原因でも、自力で作業する自信がない場合は専門業者に依頼すると安心です。

1. 止水栓の水漏れと間違いやすいケース

止水栓からの水漏れだと思ったら、実は別の箇所からの水漏れが伝っていただけだった場合もあります。
止水栓が濡れているのを見つけたら、まずは元栓を閉め、一度周囲を拭き取ってから水漏れ箇所を確認しましょう。

止水栓の水漏れと間違いやすいケースは、次の3つです。

1. 止水栓と給水管の間のパッキン劣化

止水栓と給水管の接続部分のパッキンが劣化し、水漏れが発生しているケースです。
止水栓のパッキン交換と同様、劣化しているパッキンを交換して対処します。

1. 給水管の劣化

止水栓とつながる給水管が損傷し、水漏れしているケースです。給水管の交換が必要なため、業者に依頼するとよいでしょう。

1. ウォシュレットの分岐栓からの水漏れ

ウォシュレット付きトイレの場合、止水栓に取り付けられている分岐栓から水漏れすることがあります。ボルトを締め直すことで直ることもありますが、分岐栓自体の交換が必要な場合は業者に依頼します。

ウォシュレットからの水漏れについては、こちらの記事をご覧ください。
ウォシュレット（温水洗浄便座）の水漏れ原因は？部品ごとの対処方法や修理費用を紹介

1. 止水栓の水漏れでよくある質問

最後に、止水栓の水漏れでよくある質問とその回答をまとめました。
止水栓の水漏れについてお困りの方は、参考にしてください。

1. 止水栓から水が漏れる原因は何ですか？

止水栓の水漏れは主にパッキンや弁の劣化、ナットの緩みなどが原因です。経年劣化で部品が硬化・摩耗すると接続が緩み、水が少量ずつ漏れ出すことがあります。また、取り付けが不十分な場合や逆回しによる破損でも漏れが発生します。

1. 水道の止水栓から水漏れしたらどうすればよいですか？

まずは、屋外のメーターボックス内にある元栓を閉めて水の供給を止めるのが最優先です。次に、タオルを敷く、バケツを置くなど応急処置をして被害を防ぎましょう。原因がパッキンの劣化程度なら自分で交換できますが、部品本体の交換は水道修理業者や管理業者に依頼するのが安心です。

1. 止水栓の水漏れ修理費用はいくらですか？

止水栓の水漏れ修理費用は、修理内容によって異なります。軽度のパッキン交換であれば8,000～10,000円程度が目安ですが、止水栓本体を交換する場合は12,000～20,000円ほどかかります。さらに、止水栓が床下や壁内などにあり作業が難しい場合は、20,000～40,000円程度かかることもあります。

1. 止水栓を止めても水が出るのはなぜ？

止水栓を閉めても水が出るのは、内部の弁の劣化や固着、パッキンの摩耗などが原因です。また、長期間使われていない止水栓では、内部のカルキや錆が原因で完全に閉まらないことがあります。水漏れが続く場合は、止水栓の交換や専門業者による修理が必要です。

1. 止水栓の寿命は？

止水栓の寿命は一般的に10～20年程度ですが、使用頻度や水質によって前後します。経年劣化により水漏れや故障が起きやすくなります。古くなった止水栓は早めに交換することが推奨されます。

1. トイレの止水栓から水漏れが起こったらどうすればよいですか？

止水栓から水漏れした場合は、まず止水栓を完全に閉めて水の供給を止めることが最優先です。そのあと、タオルやバケツで水を受けながら、水漏れ箇所を確認します。原因がパッキンの劣化やナットの緩みであれば、簡単な交換や調整で直ることもありますが、修理に自信がなければ専門の水道業者に依頼するのが安全です。

1. 水栓交換にかかる費用は？

水栓の交換費用は、部品代と工賃を含めて1万円〜3万円が相場です。ただし、作業内容や地域、業者によって異なるため、事前に見積もりを依頼することをおすすめします。

1. 止水栓は交換する必要がありますか？

止水栓は経年劣化や水漏れ、回しにくいなどの不具合が見られる場合は交換が推奨されます。古い止水栓を使い続けると、水漏れや破損のリスクが高まり、床の腐食などの二次被害につながることがあります。異常がある場合は、早めに専門業者に相談して交換するのが安心です。

1. 止水栓が壊れたらどうなる？

止水栓が壊れると水を止められなくなり、水漏れや床の浸水などの被害につながります。また、給水管の圧力を調整できなくなるため、トイレや蛇口の水圧が強くなることがあります。破損や水漏れを放置すると水道代の増加や二次被害のリスクが高まるため、早めの交換が必要です。

1. 一軒家の止水栓はどこにありますか？

多くの場合、トイレ・キッチン・洗面所の近くの壁、床下などに設置されています。場所によって形状が異なるため、確認するときはマニュアルや業者に相談すると安心です。

1. 止水栓からの水漏れでお悩みなら水のトラブルサポートセンターまでご相談を

止水栓から水漏れが起こった場合は、応急処置をして水を止めて対処しましょう。原因によっては、ナットの締め直しやパッキンの交換など自分で対処できることもあります。

しかし、ニップル管交換など対処が難しい場合や、作業に不安がある場合は、無理せず業者に相談することをおすすめします。

水のトラブルサポートセンターは24時間365日、電話相談が可能です。止水栓からの水漏れでお困りの際は、水のトラブルサポートセンターにご相談ください。

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