トイレのボールタップの仕組み!自分でできる修理方法や交換費用を紹介
トイレのボールタップは、タンクの水量を調節する重要な部品です。ボールタップが故障すると、水が止まらない、水漏れで水道代が高くなるといったトラブルを引き起こすことがあるため、早めの対応が必要です。
この記事では、トイレのボールタップの仕組みや水漏れの原因、自分で交換する方法、交換費用の目安などを紹介します。ボールタップの故障が疑われる場合は、参考にしてください。
-
トイレのボールタップの構造と仕組み
トイレは、タンクに溜めた水を洗浄レバーで便器に流したあと、自動的に水を補給する仕組みになっています。この給水と止水を制御しているのがボールタップです。
ボールタップは、タンク外側の給水管と連結しており、以下のような流れで水位を調節しています。
1.洗浄レバーを回すとフロートバルブが開き、タンクの水が便器に流れる
2.タンクの水位が下がり、浮き球も下がる
3.浮き球の動きでボールタップの弁が開く
4.給水管からタンクに水が注がれる
5.水位が上昇し、浮き球が上がる
6.バルブが閉まり、給水が止まる
このようにボールタップが働くことで、タンク内の水位は一定に保たれています。なお、タンクレストイレには貯水タンクがなく、水は水道から直接供給されるため、ボールタップは使用されていません。
-
ボールタップが故障すると起こるトラブルや症状
ボールタップは使用年数とともに、部品の劣化や汚れの付着などにより不具合が生じることがあります。ボールタップの故障で起こる主な症状は、以下のとおりです。
・水漏れが発生する
・タンクに水が溜まらず、流れない
・流した水が止まらない
ボールタップが故障すると、タンク内外での水漏れが発生することがあります。タンク内で水が漏れている場合は、「チョロチョロ」と水の音が聞こえてくるのが特徴です。水が絶えず供給され続けるため、気付かないうちに水道代が高くなってしまう恐れがあります。
また、ボールタップのバルブや浮き球が壊れるとタンクに水が供給されず、空になってしまう可能性もあります。この場合、洗浄レバーを操作しても水が流れないため、トイレが使用できません。
反対に、流した水が止まらずに出続けてしまうケースもあり、このような現象もボールタップの不具合が原因として考えられます。
-
トイレのボールタップを自分で交換する方法
ボールタップは、必要な部品や工具を揃えれば自分で交換できます。部分的な故障であれば、壊れているパーツを交換するだけで修理できるケースもあります。
ここでは、ボールタップの交換手順や、作業に必要な物をパーツごとに紹介するので参考にしてください。
-
浮き球
浮き球とは、タンク内の水に浮かんで水位変化に合わせて上下することで、ボールタップの給水弁を開閉させる部品です。浮き球の動きによって、タンクの水位が一定の高さで保たれるように制御されています。
浮き球の動作に異常が生じると弁が正しく開閉されなくなり、水位を適切にコントロールできなくなってしまいます。
-
交換に必要な物
浮き球の交換に必要な物は以下のとおりです。
・交換用の新しい浮き球
・マイナスドライバー
・モンキーレンチ
浮き球はホームセンターやオンラインショップなどで販売されており、比較的簡単に入手できます。交換に使用するマイナスドライバーやモンキーレンチは、サイズが合っていれば家庭にある物で対応可能です。
-
交換手順
浮き球の交換手順は以下のとおりです。
1.止水栓をマイナスドライバーで右回りに回して閉める
2.レバーをひねってタンク内の水をすべて流す
3.タンクのフタを持ち上げ、手洗い管と補助水管をボールタップから外す
4.ボールタップと浮き球をつなぐナットをモンキーレンチで緩める
5.古い浮き球を取り外す
6.新しい浮き球を取り付け、ナットをモンキーレンチで締める
7.浮き球のアームを上下に動かし、動作が正常か確認する
8.止水栓を開け、タンクに給水する
9.水位が上昇し、浮き球が浮いているか確認する
10.手洗い管と補助水管を取り付け、タンクのフタを閉める
浮き球は正しく取り付けないと、水位の調節がうまくいかない場合があります。交換後は、タンクの水位上昇とともに浮き球が上がり、給水が止まることを確認しましょう。
-
ボールタップのバルブ
バルブは、浮き球の動きと連動してボールタップの弁を開閉する重要な部品です。浮き球に異常が見られないのに水位の調節ができない場合は、バルブの不具合が疑われます。
-
交換に必要な物
ボールタップのバルブ交換に必要な物は以下のとおりです。
・交換用の新しいバルブ
・マイナスドライバー
・モンキーレンチ
・ラジオペンチ(必要に応じて)
ボールタップの種類によって適合するバルブの種類は異なります。そのため、交換用バルブの購入前に製品番号やメーカーをしっかり確認しましょう。
また、製品によってはバルブ単体で交換できず、ボールタップ一式の交換が必要な場合もあります。ボールタップ全体の交換については後述の手順を参考にしてください。
-
交換手順
バルブの交換手順は以下のとおりです。
1.止水栓をマイナスドライバーで右回りに回して閉める
2.レバーをひねってタンク内の水をすべて流す
3.タンクのフタを持ち上げ、手洗い管と補助水管をボールタップから外す
4.タンクと止水栓のナットをモンキーレンチで緩めて、給水管を取り外す
5.タンクの外側のナットをモンキーレンチで緩めて、ボールタップを取り外す
6.浮き球の根元のネジを外し、古いバルブを取り除く
7.新しいバルブを取り付け、ネジを締める
8.ボールタップと給水管をつなぎ、ナットをモンキーレンチで締める
9.手洗い管と補助水管を取り付け、タンクのフタを閉める
10.止水栓を開け、タンクに給水する
なお、バルブの種類によってはネジの操作にラジオペンチが必要なため、必要に応じて工具を準備しましょう。
-
パッキン
ボールタップと給水管の接続部分には、水漏れを防ぐためにパッキンが使われています。パッキンの経年劣化により水漏れが発生した場合は、新品への交換が必要です。
-
交換に必要な物
パッキンの交換に必要な物は以下のとおりです。
・交換用の新しいパッキン
・マイナスドライバー
・モンキーレンチ
パッキンは、ホームセンターなどでさまざまなサイズが販売されています。パッキンの大きさが合わないと水漏れが直らないため、適合サイズを確認しましょう。
-
交換手順
パッキンの交換手順は以下のとおりです。
1.止水栓をマイナスドライバーで右回りに回して閉める
2.レバーをひねってタンク内の水をすべて流す
3.タンクのフタを持ち上げ、手洗い管と補助水管をボールタップから外す
4.給水管のナットをモンキーレンチで緩めて取り外す
5.ナットの内側のパッキンを取り外し、劣化している場合は新品と交換する
6.タンク内外のパッキンで劣化している物は新品と交換する
7.給水管を取り付け、ナットをモンキーレンチで締める
8.手洗い管と補助水管を取り付け、タンクのフタを閉める
9.止水栓を開け、タンクに給水する
パッキンの交換後は、トイレ全体で水漏れがないかを確認しましょう。水漏れが見つかった場合は、再度止水栓を閉めてからタンク内の水を流し、パッキンが正しく取り付けられているかをチェックしてください。
-
ダイヤフラム
ダイヤフラムとは、給水管から流れる水の水圧を調節する部品です。故障が多い部品のため、比較的簡単に交換できるように設計されています。
-
交換に必要な物
ダイヤフラムの交換に必要な物は以下のとおりです。
・交換用の新しいダイヤフラム
・マイナスドライバー
ダイヤフラムにはいくつか種類があるため、現在使用している物と適合するか確認しましょう。
-
交換手順
ダイヤフラムの交換手順は以下のとおりです。
1.止水栓をマイナスドライバーで右回りに回して閉める
2.レバーをひねってタンク内の水をすべて流す
3.タンクのフタを持ち上げ、ボールタップカバーと浮き球を取り外す
4.ナットを左に回して外す
5.古いダイヤフラムを取り外す
6.新しいダイヤフラムを取り付ける
7.ナット、浮き球、ボールタップカバーをもとに戻す
8.タンクのフタを閉める
9.止水栓を開け、タンクに給水する
10.水を流して動作を確認する
ダイヤフラムは、正しく設置されていないと正常に機能せず、水が噴き出す恐れがあります。新しいダイヤフラムのプラスチック部分とゴム部分が外れてしまった場合は、針金の突起がゴムの穴から出てくるように組み立てましょう。
-
ボールタップ全体
ボールタップの中には、バルブ単体で交換できないタイプもあります。このような製品は、浮き球やダイヤフラムなどの部品も含めて、ボールタップ一式を交換しましょう。
-
交換に必要な物
ボールタップ全体の交換に必要な物は以下のとおりです。
・交換用の新しいボールタップ一式
・マイナスドライバー
・モンキーレンチ
ボールタップ一式は市販されており、ホームセンターやオンラインショップなどで購入できます。ただし、トイレの種類によって異なるため、取扱説明書やメーカーの公式サイトなどで適合するタイプを確認してから購入しましょう。
-
交換手順
ボールタップ一式の交換手順は以下のとおりです。
1.止水栓をマイナスドライバーで右回りに回して閉める
2.レバーをひねってタンク内の水をすべて流す
3.タンクのフタを持ち上げ、手洗い管と補助水管をボールタップから外す
4.タンクのナットをモンキーレンチで緩めて、給水管を取り外す
5.タンク外側のナットを緩めて、ボールタップを取り外す
6.新しいボールタップの接続部分にパッキンを取り付ける
7.ボールタップを取り付け、タンク接続部にパッキンとナットを入れて固定する
8.ボールタップと給水管を接続し、ナットをモンキーレンチで締める
9.手洗い管と補助水管を取り付け、タンクのフタを閉める
10.止水栓を開け、タンクに給水する
交換作業後は、タンク内の水位が適切か、接続部分に水漏れがないかなど、正常に機能しているかを確認してください。
-
ボールタップを交換するときの注意点
ここでは、ボールタップを交換するときの注意点を紹介します。
トラブルをきちんと解決するためにも、作業前に気を付けるべきポイントを確認しておきましょう。
-
種類違いに気を付ける
ボールタップにはさまざまな種類があるため、購入する際はトイレに合ったタイプかどうかを確認する必要があります。
確実に適合する製品を選ぶには、トイレメーカーの正規品を購入するのがおすすめです。メーカーの公式サイトに記載されている型番を確認し、対応するボールタップを選びましょう。
交換費用を安く抑えたい場合は、ホームセンターなどで販売されている汎用品を選ぶ方法があります。ただし、適合する製品を見つけるのが難しい場合もあるため、不安なときは取り外したボールタップを持参するか、写真を撮って店員に確認してもらうと安心です。
-
交換が難しいなら業者への相談を検討する
ボールタップの交換は比較的簡単におこなえますが、作業に不慣れな場合は時間がかかったり、正しく取り付けられなかったりする可能性があります。交換作業に不安があるときは、水道修理業者への相談を検討してみましょう。
また、ボールタップを正しく交換したにも関わらず不具合が続く場合は、他の部品が故障している恐れもあります。トイレ全体の状態を確認するためにも、経験豊富な修理業者に点検してもらうと安心です。
-
ボールタップの水位を調節する方法
ボールタップの交換完了後は、タンク内の水位を適切な位置に調節する必要があります。
ここでは、水位の調節方法を浮き球があるケースと、浮き球がないケースに分けて解説します。
-
浮き球があるケース
浮き球が付いているボールタップでタンク内の水位を調節する方法は、以下のとおりです。
1.止水栓をマイナスドライバーで右回しに回して閉める
2.タンクのフタを開ける
3.正常な水位を示す、オーバーフロー管のWL(ウォーターライン)マークを確認する
4.タンク内の水量が多い場合は、作業しやすくするために水を流す
5.浮き球のアームの根元についているナットをモンキーレンチで緩めて外す
6.水位に応じてアームを曲げる
7.アームを取り付け直し、ナットをモンキーレンチで締める
8.止水栓を開けて、タンクに給水する
9.洗浄レバーで水を流し、水位が正常か確認する
10.水位が適切でない場合は、再度アームを調節する
11.タンクのフタを閉める
オーバーフロー管とは、水があふれるのを防ぐための排水管です。適切な水位の目安として、WL(ウォーターライン)マークが記載されていますが、目印がないタイプでは管の先端から2〜3cm下を水位の目安にしてください。
浮き球のアームを曲げる際は、水位に応じて曲げる方向が異なります。
・水位が高い場合:アームを下側に曲げる
・水位が低い場合:アームを上側に曲げる
アームの付け根に力を加えると折れる恐れがあるため、中央付近をペンチなどで少しずつ曲げて調節しましょう。
なお、浮き球があるタイプのボールタップでも、アームを曲げずに水位調節リングというネジで簡単に水位を調節できる製品もあります。
-
浮き球がないケース
浮き球が付いていないボールタップでタンク内の水位を調節する方法は、以下のとおりです。
1.止水栓をマイナスドライバーで右回しに回して閉める
2.タンクのフタを開ける
3.正常な水位を示すオーバーフロー管のWL(ウォーターライン)マークを確認する
4.タンク内の水量が多いときは、作業しやすくするために水を流す
5.水位が高いときは左回りに、低いときは右回りに水位調節リングを回す
6.止水栓を開けて、タンクに給水する
7.レバーで水を流し、水位が正常なことを確認する
8.水位が適切でなければ水位調節ネジで調節する
9.タンクのフタを閉める
浮き球がないタイプのボールタップは水位調節リングを回すだけでよいため、アームで調節するタイプよりも簡単に水位をコントロールできます。ただし、製品によって調節方法が異なる場合もあるため、取扱説明書を確認することをおすすめします。
-
ボールタップの交換費用
ここでは、ボールタップを自分で修理する場合と、業者に依頼する場合の交換費用の目安を紹介します。
どちらの方法でボールタップを交換するか迷っている方は、参考にしてください。
-
自分で修理する場合
自分でボールタップを修理する場合にかかる、それぞれの部品・工具の費用目安は以下のとおりです。
部品・工具 |
価格の目安 |
ボールタップ |
2,000〜12,000円 |
浮き球 |
600〜1,500円 |
ダイヤフラム |
500〜1,500円 |
パッキン(2個) |
300〜500円 |
マイナスドライバー |
200〜1,000円 |
モンキーレンチ |
500〜2,000円 |
ラジオペンチ |
500〜2,000円 |
自分で交換するのであれば作業費用はかからないため、その分安く抑えられます。また、すでに工具を持っている場合は交換部品だけの出費で済むので、経済的といえるでしょう。
-
業者に依頼する場合
修理業者にボールタップの交換を依頼する場合にかかる費用は、7,000〜14,000円が目安です。ただし、こちらは作業費用のため、交換部品の費用が別途かかります。
ボールタップの価格は2,000〜12,000円程度と幅があり、正規品から汎用品まで価格帯が異なります。専門業者であれば最適な部品を選定し、確実な作業で長期間安心して利用できるでしょう。
汎用品を自分で用意して業者に交換を依頼する際は、事前に業者へ相談しておくのがおすすめです。適合性の確認や注意点などについても、専門的なアドバイスを受けられます。
-
ボールタップ交換を依頼するなら水のトラブルサポートセンターへ
トイレのボールタップは、タンク内の水位を適切に保つために欠かせない部品です。ボールタップが故障すると水漏れや水が流れないといったトラブルが発生する恐れがあるので、異常を見つけたら早急に対応する必要があります。
水のトラブルサポートセンターは、年中無休で24時間対応しており、見積もり・出張費・深夜割増料金はすべて無料なため、突然のトラブルでも安心です。
LINE会員もしくはWEBからのご依頼で最大3,000円割引、またはお電話の際に「ホームページを見た」とお伝えいただければ2,000円割引をご利用いただけます。
ボールタップの故障など、トイレのトラブルでお困りの際はご相談ください。
【水トラブルのことなら】どんな小さなことでもお気軽にご相談ください!
【受付時間】24時間365日対応|お見積り0円・出張費0円・深夜割増0円
関連記事
水トラブログのコラム一覧
水トラブログ編集部
最終記事更新日:2025.07.08