最終更新日:2025.06.12 水道管
水道管の種類一覧!仕組みや水漏れしたときの修理方法を解説
「水道管」を知らない人はいないと思いますが、「水道管とは?」と聞かれるとなかなか説明できないのではないでしょうか。丈夫で壊れないといったイメージの水道管ですが、定期的な点検・メンテナンス・交換をしないと水漏れや濁った水が出るなどの症状が起こります。
この記事では、水道管の種類や仕組み、交換が必要な症状について詳しく解説します。
また、業者に依頼したほうがよいケースや交換にかかる費用相場、実際に弊社にご依頼いただいた作業事例なども紹介するので、水道管のトラブルでお困りの方はご覧ください。
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水道管とは?仕組みを紹介
水道管とは、文字通り「水の道」なので水が通る管です。しかし実は、その性質によって「配水管」「給水管」「排水管」と種類が分かれています。
私たちが使っている水は、浄水場から配水管を通って自宅の量水器(水道メーター)まで運ばれてきます。そこから給水管にバトンタッチして、家の中の各種蛇口に運ばれます。キッチンやトイレなどで使われたあとの汚れた水は、排水管を通って下水道に運ばれ下水処理場へと流れていきます。
すべて水道管ですが、トラブルが起きたときの対応先が違います。配水管でのトラブルは水道局が対応することになっており、水道業者では対応できません。給水管のトラブルは使用者が対応します。使用者が修理できることもありますが、通常は水道業者に修理依頼をします。排水管はトラブル箇所によって対応者が異なるのです。この記事での水道管は給水管を指します。
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水道管の種類・素材一覧
水道管の種類・素材 |
特徴 |
樹脂管(HIPV・HI管) |
現在最も使用されている水道管。加工もしやすく施工、修理が安価。温度変化に弱い。 |
塩ビ管 |
腐食しにくい。なかでも「VU管」「VP管」「HIVP管」「HTVP管」は優れている。 |
鉄管・鉛管 |
鉄管:丈夫で耐震性に優れているがサビによるトラブルが多いため、現在はあまり使用されていない。 鉛管:鉄管に比べて加工しやすい利点がある。しかし、重宝されていたが健康被害の懸念があり、現在は早急な交換が必須となっている。 |
その他の特殊管 |
銅管:熱に強いため給湯管として使われることが多い。 エルメックス管:熱にも寒さにも強い新しいタイプの水道管。 |
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近年主流の樹脂管(HIPV・ポリ管)
現在は鉄管や鉛管の使用が減ってきており、「HIVP管」「ポリ管」という樹脂製の水道管が主に使われるようになりました。
HIVP管の正式名称は「耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管」です。
プラスチック製なので、鉄管で困っていた「サビ」発生の心配がなく水にサビが混入することはありません。そのうえ、樹脂でできているので加工もしやすく、加工や修理にかかる費用も比較的安価で済むのがメリットです。
弱点は、温度の変化に弱く、耐久温度幅が鉄管に比べて狭いことです。高温の湯を流し続けると劣化が早まるので、給湯管には向きません。
また、冬に凍結すると割れてしまいます。弊社でも2月のような水道管が凍結しやすい時期に「凍結が溶けたら水道管が破裂していて水が噴き出している」といった依頼をいただくことがあります。メリットが多い反面、使う場所を選ばないといけません。
上記のようなHIVP管の弱点をカバーできるのは「ポリ管」です。
正式名称は「ポリエチレン管」です。HIVP管同様、現在ではよく使われている素材です。管と継手のみで構成されるので、取り付け・取り外しがしやすく熱や振動にも強いという特長があります。
弱点は、太陽光に弱く、長期にわたって太陽光を浴び続けると割れやすいことと、やや高めの価格なことです。
それぞれ長所・短所があるので、使用用途や設置場所の条件などで使い分けをすることが主流になっています。
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メジャーな塩ビ管(PVC)
近年、メジャーな塩ビ管には「VU管」「VP管」「HIVP(HT)管」などの種類があります。各々特性が違うので、使用用途に応じて使い分けをします。
総合的には腐食への耐性や、軽量で扱いやすいことが評価されています。
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VU管
VU管は塩化ビニルでできています。主に、給水や排水で使われることが多い水道管です。耐食性に優れており腐食原因の劣化が少なく、長期間にわたっての使用が可能です。
特長としては、軽量で扱いやすく施工がやりやすいことです。比較的熱にも強いので、温度変化由来の影響は受けにくいといえます。
しかし、鉄管に比べて強度は落ちるので、大きな負荷がかかる可能性がある場所での使用は注意が必要です。どの塩ビ管にもいえることですが使用用途、使用場所の条件、環境をよく確認して他の素材の物との比較、検討が必須です。
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VP管
VP管は耐薬品性と耐久性が高い塩ビ管です。主に、給水配管、排水管として広く使用されています。特長としては、軽量で扱いやすく加工も容易にできるので、幅広い現場で使われている素材です。
また、VP管の代表的な特長としては、腐食に強い点が挙げられます。鉄管や銅管と比べてサビの発生がないので、こちらも長期間にわたっての使用が可能です。加えて、VP管は熱による影響を受けず、熱膨張が少なく温度変化に強いので、さまざまな地域の気候条件に適応していきます。
上記のような高い特性から水道管の評価が高く、VP管は住宅だけでなく、商業施設など幅広い場所で使われています。さまざまな配管システムにも適応できるので、コストパフォーマンスの高さでも評価が高く、いろいろな現場で選ばれています。
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HTVP管(HT管)
HTVP管(HT管)の正式名称は「耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管」です。熱に弱いVP管を克服した水道管です。
通常の塩化ビニル樹脂に耐熱樹脂を加えるといった仕様の水道管なので高温、高圧への耐久性が高いのが特長です。住宅での使用というよりは、工業用途や工場などで使われることが多い水道管です。とくに、蒸気や熱湯を運ぶことに適しているため、工場などでエネルギー効率向上の目的で選ばれています。
また、腐食への耐性にも強い仕様になっているので、工場内で使用されるいろいろな化学物質の影響も受けにくく、軽量で扱いやすく施工も容易です。
このような特性により、工業設備においてのメンテナンスのコスト削減にも役立ち、高い耐久性で長期間の安定を提供することができる水道管です。
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昔ながらの水道管
鉄管と鉛管は少し前までは水道管の主流でした。しかし、新しく開発された優秀な素材により現在は姿を消しつつあります。
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鉄管(銅管)
鉄管は「鉄」の持つ丈夫さと耐震性の高さという特長が評価され、長らく水道管のなかで大きなシェアをしめてきました。
その反面、加工時間がかかり加工するのに非常に手間がかかるデメリットに加えて、腐食に弱いという性質があります。水道管が錆びて赤い水が出たり、水道管にサビが原因のピンホールという小さな穴が空いて水漏れを起こすというケースが多発してきたため、近年では使用が激減しています。
自宅の水道管が鉄管だった場合、水漏れが起こったら鉄管の錆びによるピンホールかもしれません。修理方法はなく、専用のテープを巻き水漏れを止めることになりますが、応急処置なのでいずれは水道管の交換が必要になります。
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鉛管
鉛管は鉄管に比べて加工しやすい特性があり、水道管が設置されるようになった初期の頃は主流の素材でした。
しかし、水漏れトラブルが多くさらに鉛は水に溶けるため、水道管内の水に少しずつ鉛が溶け出します。その水を長期的に飲んでいると、中毒症状を引き起こすという健康被害が懸念されるようになりました。使用しないというより積極的な交換が推奨されています。
自治体によっては、補助金制度を設けているところもあります。
自宅が比較的、新しい家なら問題はありません。しかし、30年以上前に建てられた家屋で水道管の詳細がわからない場合は鉛管が使われている可能性もあるので、一度水道局や専門業者に相談してみてください。
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その他の水道管
その他には、「ステンレス銅管」「エルメックス管」があります。
それぞれ解説します。
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ステンレス銅管
ステンレス銅管は、鉄管の持つ丈夫さと耐久性を備えつつ、錆びの問題がない優れた素材です。ステンレスは包丁やお鍋といった調理器具、厨房機器、医療機器にも使用される衛生的な素材です。
デメリットは、他の水道管に比べて初期費用が高いことですが、その反面、他の素材より劣化の心配がなくトラブルも少ないのがメリット。そのため、修理にかかる費用も抑えられ、長期的に見れば経済的です。
近年は、接合する技術が進化して、接合にかかる時間の短縮や品質の均一化により初期費用もかなり抑えられるようになっています。
さらに、ステンレス銅管はリサイクルが可能な素材で、廃棄した場合でも有毒ガスが発生しないなど、地球に優しいサステナブルな素材としても関心が高まっています。
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エルメックス管
エルメックス管は近年、新しく開発された素材です。
今までの水道管素材になかった特長は、マイナス70℃から95℃くらいの幅広い温度に耐えうる点です。凍結しても割れることがないので、寒冷地での使用にも安心できます。また、塩素耐久も高いので水質にも安心が持てます。
接合方法としては、他の水道管とは違う「電気融着工法」という短時間で加工できる方法が使われます。この工法は、水漏れが起こりにくいという特長があります。コストが高い面がありますが、リサイクルが可能なので環境に優しい素材として近年、注目されています。
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水道管の交換が必要な症状
水道管の劣化というイメージはわかないと思いますが、やはり経年劣化は起こります。劣化したものは交換が必要です。
ここでは、交換が必要とされる症状を説明します。
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水道管から水漏れが起きている
最もポピュラーな症状は、水道管からの水漏れです。経年劣化に加えて、地震や凍結によってダメージを受けた水道管が破損して、水漏れが起こることがあります。破損個所によって水漏れのサインは異なります。屋外や庭にある水道管の場合は、周辺の土が泥状になってきたり、雨も降っていないのにどこか1箇所に水溜まりができたりします。
屋内での水漏れは、壁の中など目に見えない場所で起こることが多く、気づかないうちに床や壁に浸水するリスクも。その結果、電化製品のショートや故障、火災のリスクが高まるほか、湿度の上昇によってカビや害虫が発生する恐れもあります。これらは睡眠障害などの健康被害にもつながるので、早急な対応が必要です。
また、水漏れの原因が経年劣化だった場合、他の箇所にも同様の水漏れが起こる可能性が高いので対処が必要です。
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蛇口の水が濁っている
蛇口から濁水が出るときは、水が何色なのかによって原因も異なります。
それぞれの原因について見ていきます。
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赤い水が出る
赤い水が出るのは、水道管の錆びが原因です。とくに、朝一番に出した水がとても赤い場合は水道管の交換が必要です。夜間、水を流していない状態から、朝水を出すと水道管の内部にあった表面のサビが水で剥がされて流れてきます。朝一番に出した水は捨てて、次の水の様子を見る方法がありますが、水が透明に見えたとしても水道管内部のサビが少しずつ溶けている可能性があります。水道管が老朽化している場合は、至急水道局に相談しましょう。
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黒い異物が混ざっている
水に何か黒い物が混ざっていたら、素手で触らずゴム手袋をして手に取ってみてください。柔らかい物だった場合は、パッキンやホースの劣化で破片が流れてきている可能性が高いのでパッキンやホースの交換が必要です。
異物が硬くてザラザラしていたら、水道管内部の鉄サビの可能性が高いです。硬い異物が頻繁に混ざる場合は、水道局に相談してみてください。
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水から異臭や変な味がする
水の臭いや味がおかしい場合も、水道管交換が必要な場合の症状です。
水道管が鉄管だった場合、内部の錆びが少しずつ水に溶け出している可能性が考えられます。この場合は、水がサビ臭く、味も鉄のような味になります。ご自宅の水道管が鉄管でまだ交換されておらず、異臭やおかしい味が確認できた場合は速やかに水道管交換をするのがおすすめです。。
では、樹脂製の水道管なのに、異臭がしたり味がおかしい場合はどういうことなのでしょうか。
樹脂製なので水道管内部にサビが発生することはありません。しかし、水道管が破損して、その箇所から水道管周辺の何かが入り込むと異臭やおかしな味が感じられることがあるかもしれません。そのような状態が続くようなら、水道管に何らかのトラブルが起こっている可能性があるので、水道局に相談してみてください。
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水道管の交換は自分でできる?
最近は器用な方も多く、ちょっとしたリノベーションやリフォームをDIYでおこなう人も増えていますが、水道管の交換は個人ではできません。「水道法」という法律によって、水道管の交換は有資格者でないとおこなえないのです。有資格者でなくてもおこなえる水道周辺の作業は、蛇口の交換やパッキン、カートリッジの交換などです。
水道は個々の家の中だけでなく、周辺の住宅や施設とつながっている公共の設備です。誰でも作業ができてしまうと、周辺の方にまで影響が出てしまいます。このように違反行為になるからという理由以外にも、壁や地面の掘削が必要で個人ではなかなかできない作業です。
また、誤った工事をしてしまうと自分の家に余計な被害を引き起こす恐れもあり、周辺の多くの人に多大なる迷惑をかけることにもなりかねません。水道管の交換は、水道局指定の業者に依頼しましょう。
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水道管の交換時期の目安
水道管の交換時期は、素材の種類、設置されている環境、使用方法、頻度などさまざまな条件によって異なりますので、一概に何年と断言はできません。
素材別の目安は以下のとおりです。
・鉄管、銅管:20~30年
・塩ビ管:30~40年
・ポリエチレン管:30~40年
・ステンレス管:40~50年
※鉛管は健康被害の懸念もありますので、至急交換の手配をしてください。
おおよその目安になりますが、濁水や水漏れといったトラブルが起きていないなら、施工後20年までは数年に一度の点検はおこないましょう。施工後20~30年経っている場合は何かしらの劣化が進んでいる可能性がありますので、点検後、劣化が発覚したら交換しましょう。
施工後30年以上経過している場合は交換を検討し、点検をおこなうのがおすすめです。
また、リフォームなどで壁や床を開口する機会があるなら、上記年数に未達であっても積極的に点検を実施することでトラブル回避ができます。
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水道管の交換を業者に依頼すべきケース
水道管の交換を最初から業者に依頼したほうがよい状況とは、下記のような場合です。
・何回も水漏れしている
修理しても水漏れが再発する場合は、水道管の劣化がかなり進んでいる状態です。複数個所の破損がある場合もあります。
・濁水が出る、味がおかしい
水の異常を感じたら業者に点検を依頼しましょう。濁水や味の異常は、水道管内部のサビが少しずつ水に溶け出しているということです。健康被害も招きかねません。
・蛇口から出る水の量が減ってきた
水道管内部のサビが積み重なって、コブのようになってきたら水がせき止められて水量が減る場合があります。止水栓を操作したなどの心当たりがない場合は、点検を依頼しましょう。
・水道管の耐久年数を超えている
水道管の素材や環境によって耐久年数は異なりますが、目安として施工後20~30年経過している、一度も点検したことがない場合はとくにトラブルが起こっていなくても業者に点検依頼することをおすすめします。他にも何かしらの違和感があったら点検を依頼しましょう。
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水道管の交換にかかる費用相場
一般的に、水道管交換にかかる費用相場は下記の表のようになります。
ただし、業者によって基本料金が異なりますので、数社見積もりを取るようにしましょう。
修理箇所 |
交換にかかる費用相場 |
ひび割れや穴が開くなどの一部分 |
10,000~15,000円 |
水道管(給水管)全体 |
100,000円~ |
自宅の敷地内の水道管 |
300,000円~ |
※ひび割れや穴補修など一部分の修理は応急処置的な場合もありますので、水道管の状態をよく確認しましょう。
※給水管交換は、使用素材や施工箇所によって交換費用が変わります。また、交換するにあたって、壁や床の開口や掘削が必要なのかといった作業内容、難易度によっても大きく異なります。
※戸建てで水道管全体の交換になった場合は、100万円を超えることもあります。
必ず見積もりをとって必要な工事なのかをしっかり確認してください。
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水道管トラブルを防ぐには日々のメンテナンスが大切
水道管の寿命を延ばすには、日頃からメンテナンスを心がけることが重要です。
とくに気を付けたいのは冬です。水道管は凍結するとダメージを受けてしまいます。解凍されてとくに破損などがなかったとしても、水道管には破損のリスクが蓄積していきます。
寒冷地では凍結対策も十分になされていると思いますが、寒冷地でない地域でも冬季に数日、水道管が凍ってしまうほど寒くなる日があります。天気予報で夜間凍結注意報などが出た場合は、水道管に保温材を巻く、少量の水を出しっぱなしにするなどの対策が必要です。
また、水道メーターのパイロットで水漏れをしていないか定期的に確認しておきましょう。方法は家中の水を止めて、水道メーターのパイロットを見てみます。パイロットが回っている場合は、どこかで水漏れが起きています。自分で探すのが困難な場合は、業者に調査依頼をしましょう。
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水のトラブルサポートセンターの水道管の修理事例
実際に弊社がおこなった水道管修理の事例です。
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Aさんの場合
トラブル内容:ベランダにある水道管に穴が開いて水漏れが発生。
今はまだ少しだが、水道管の水漏れがひどくなる前に見てほしい。
作業内容:給水管一部補修
作業時間:3時間
作業費用:22,000円
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Bさんの場合
トラブル内容:夜に気温が下がっていたみたいで、朝見たら屋外の給湯器周りの水道管が破裂して、
水が噴き出していた。
作業内容:屋外給湯器周辺、給水管および給湯管交換
作業時間:5時間
作業費用:98,000円
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水道管トラブルが起きたら水のトラブルサポートセンターへ
一口に水道管と言っても、素材や用途によってさまざまな種類があり、各々メリット・デメリットがあります。
また、一昔前は主流だった鉄管や鉛管は早急な交換が必要になります。
とくに鉛管は早急な交換が必須となりますので、自分の家の水道管素材が不明な方はそこから調査依頼をしてください。
濁水や水漏れなど、実際にトラブルが起こると修理費用も高額になったり修理期間も長期になり不便を強いられることもあります。そうなる前に、ぜひ定期的な点検をおすすめします。
水のトラブルサポートセンターは365日24時間受付しております。また出張料、見積もりは無料です。甚大な被害を起こす前にぜひご相談ください。
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水トラブログ編集部
最終記事更新日:2025.06.12